こちらはセイゲン・オノ(小野誠彦)がコムデギャルソンのショーのために手掛けたサウンドトラックのVol.1です。
ちなみにVol.2も持っています(こちらはVol.1とはまた違った雰囲気)。
買ったのは中学2年の時、中古CD屋で。
CDを買う前にテレビでコムデギャルソンのパリコレのショーを見て、
非常に感銘を受けました。
そのショーではペチコートの上に透ける素材の刺繍を施したワンピースを重ね、
足元は靴下にサンダルという大人の女性と少女の両方の部分を併せ持ったスタイルが提案されていました。
ショーの音楽は後に大好きになるアストル・ピアソラが使用されていて、
服の静かに漂わせる官能的な雰囲気にぴったりでした。
そんなわけであんな素敵なコレクションを発表したコムデギャルソンの世界が音になったらどんな感じだろうと、期待に胸を躍らせてCDを買いました。
当時私はデヴィッド・ボウイとゲンズブールに夢中で、
70年代ロックを中心に聴いていました。
同時にワールドミュージックへの興味もありました。
そこで聴いてみたこのCD、
それまでに聴いたことのない音楽でびっくりしました。
CDに付属のライナーによれば、
川久保玲はセイゲン・オノに
「服がきれいに見える音楽を」
「誰も聴いたことのない音楽を」
という注文をしたそうです。
印象としては無国籍で(アフリカ音楽風のトラックとロックンロールのトラックもありますが)
でも決して難解な音楽ではなく、どこか懐かしさも感じさせるなんとも形容しがたい音楽。
聴く者のイマジネーションを刺激する豊かな音楽。
国境を越え、ジャンルを超えた自由な音楽。
参加メンバーも凄いです。
アンビシャス・ラヴァーズ、ジョン・ゾーン、
ジョン・ルーリー、フレッド・フリスといった
NYアンダーグラウンドシーンで活躍する面々に加え、
アフリカ系の名前やポルトガル系の名前も見られます。
1987年にニューヨーク、パリ、東京で録音されたとあります。
今から20年前の音楽なのに、古さは感じさせません。
むしろ新しいとか旧いとかそういうのを超越しているように思います。
で、この音楽がコムデギャルソンの服を喚起させるかというと、させると思います。
この音楽によって、コムデギャルソンの服の先鋭性、質の高さ、豊かさが
よりダイナミックに伝わったのだろうと想像します。
だけれども、既述のように、
音楽自体がとても素晴らしいので、
独立した音楽としてとても楽しめます。
それにしても、こんな素晴らしい音楽を作ったセイゲンオノも凄いですが、
彼に注文した川久保玲のmaster for thinkingとしての存在は凄まじいと思います。